GNH, Gross National Happiness
2007-07-15


来週からブータンに行ってくるので、ブータンに関する本を読んでいる。

GNH, Gross National Happiness, 日本語で言えば「国民総幸福」というのは、1976年に前国王が打ち出した、有名な考え方だ。

"Gross National Happiness is more imprtant than Gross National Product."

この話自体は有名であるし、新聞やら様々な文献に取り上げられているので今更特段どうとも思わないのだけれど、これを数式で表したものを見た時にちょっと衝撃を受けてしまった。

幸せ = 財 / 欲望

さすが仏教国!と感心すると同時に、妙に納得もしてしまった。

ブータンは、「財」を伸ばすと同時に、分母である「欲望」を小さくするために、情報を制限したり、伝統的な価値観の浸透を図る政治をしているとも言える。

アメリカでの学生生活の同級生に、ブータン人がいた。彼は結構なお洒落で、よくよく見ると結構なブランドものなどを着ているので、ブータン人なのに、お金持ちだなあ、などと思っていた。その彼も、経済学の授業のグループワークで、このGNHをプレゼンテーションのネタに使い、プレゼンの時にはグループの皆で、ブータンの民族衣装、「ゴ」を着ていたのが印象的だった。卒業した後の今年1月、期せずしてこのブータン人にバンコクで再会する機会があった。彼は実はブータンのお姫様(第一皇女)にお婿入りしている。バンコクのサービスアパートメントのレストランで会った彼は、食事の間中お姫様に大変な気配りをしていて、見ていて痛ましいほどであった。(が、本人は全然気にしてないらしい。)

1年に何度もバンコクに来るというお姫様に、バンコクで「何してるの?」と聞くと、「スキンケアのためのトリートメントと、ショッピング。」との答え。話によると、毎日毎日、お買い物が大変らしい。後から、ブータンにいる知り合いに、王族の乗った飛行機(国営のDruk Air)が空港に着くと、王室マークの荷物が山積みになると聞いた。

王族がこんな暮らしをしているのを、一般のブータン人は知っているのだろうか。

ブータンは2008年に初めての民主選挙を予定している。既に2回も練習の選挙が実施され、選挙に行こうキャンペーンも繰り広げられている。ブータンで作成された有識者教育のビデオを見たが、国際社会の支援なくとも、着々と準備を進める勤勉さは、予定された選挙も延期となり、全てが予定通りいかない隣国のネパールと比べたら、信じられないほどの優等生ぶりである。

が、しかし。ブータンの国民は、何かを選ぶための情報をどこまで持っているのだろうか。

ともあれ、王族の一人当たりGNHはもしかして、国民のそれよりも低いのかもしれない。なにせ、分子も大きいだろうが、分母も大きいであろうから。と言ったら、意地悪だろうか。
[世界]

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